となりのウチナーンチュ
2008/08/17(Sun)
となりのウチナーンチュ

 早見裕司・著   理論社 ×

 【2008(H20)夏 中学生課題図書】

 あれやこれやで人との関わりあいに疲れ果てた15歳の少女が、
 東京を離れ、遠く沖縄で心の友と呼べる少女に出会い、魂の再生を果たすおはなし。

 書いてしまうとものものしいのだが、
 その再生の道のりはなんとも穏やかでのほほんとして、
 読んでいて肩の力がすぅっと抜けて行く感じが心地よい。
 
 ウチナーンチュ(沖縄人)の彩華は15歳。
 自称小説家の父と二人で暮らしている。
 あと、役に立つんだか立たないんだか判然としない自称”福の神”・青蛙神(せいあしん-3本足の蛙の置物)のポチ。

 彼女をとりまく環境は、順風満帆ではないはずなのだが、
 周りの人々のゆるさとぬくみが
 そして何より彼女自身のからりとした気性が
 そんな状況もナンクルナイサー(どうってことないさ)と思わせてくれる。
 
 そこにもう一人の主人公・ナイチャー(内地の人間)の夏海が加わる。
 彼女もこのぬくとさの中でナンクルナイサーの精神を体得し、本来の自分を取り戻していく。
 彼女を自分の手許におこうと追いかけてきた母親との直接対決は見物。

 この物語のもう一つの魅力は等身大の”沖縄”を感じられることだろう。
 言葉・風土・人情・社会。
 明らかに内地とは違う、一つの独立した文化圏であることを 再認識できる。
 ウチナーグチ(沖縄の言葉)の名手にこの本を朗読して聴かせてほしいと思った。
 欲を言うなら画像つきで。

 追記:上記文中でのナンクルナイサーという言葉の使い方は、厳密には誤りであるらしい。(本文参照)でも、現代の沖縄ではここで用いた意味でも通じるようなのでそのまま使わせてもらうことにした。


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天馬のように走れ
2008/08/10(Sun)
天馬のように走れ

 那須田 稔・著   ひくまの出版 ×
【2008(H20)夏 中学生課題図書】

 副題 書聖・河村驥山物語

 序文 これは、書を愛し、自然を愛し、自由を愛し、
     ひとすじの清流のように生きた
     ひとりの人間の記録である。 (本文抜粋)

 神童の誉れ高い幼少のみぎりより、87歳でその生涯を閉じるまで
 驥山のエピソードは枚挙にいとまがない。
 中でも圧巻なのは、
 12歳のときに
 「出師表-すいしのひょう」「孝経-こうきょう」2、000字を、全部暗書し、
 時の明治天皇夫妻の銀婚式にお祝いとして献上した、というくだりであろう。
    (出師表・孝経はいずれも中国の古典。すべて漢文で書かれている。
     暗書は暗記して書くということ。)
 
 この快挙を契機として、驥山は多くの人と出会うことになる。
 一つの出会いはまた次の出会いを運ぶ。
 その真摯さと人柄ゆえに、人は誰もが驥山を比類なき存在と認め、
 彼はどの出会いからも何かを吸収し、
 ひたすらに書の道を究めていくことになる。
 
 道を究めるということの真髄を、襟を正して垣間見させてもらえる気がする。

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花になった子どもたち
2008/08/09(Sat)
花になった子どもたち

 ジャネット・テーラー・ライル/作 市川里美/画 多賀京子/訳   福音館書店 ○

 【2008(H20)夏 3・4年課題図書】

 母さんはなくなって
 父さんはどうしても仕事が忙しくて

 誰も面倒を見てくれる人のいなくなった姉妹
 オリヴィアとネリーは夏の間ミンティーおばさんのところに預けられることになりました。

 妹のネリーはとてもややこしい性格の持ち主で
 オリヴィアは全力をあげてネリーを理解し、守ってやることに全神経をそそいでいます。
 お互いにお互いだけがいれば心地よい二人っきりの閉じた世界。

荒れ果てた庭の奥に一人で住んでいる
 子どもの気持ちなんかちっともわかりそうにないおばさんと
 一緒になんてやっていけるわけがない!

 ある日庭から土にまみれた小さなティーカップが見つかりました。
 時を同じくして今度は家の中でそのカップにまつわるお話を書いた本も見つかります。

 庭に埋められたティーセットを全部掘り出すことができれば
 この庭で花に姿を変えられた子どもたちが人の形を取り戻すことができる

 このふしぎな話を心から信じたネリーのティーセットさがしが始まります。

 庭のすみずみを掘り返し、場合によっては雑草も抜いて 
 夏が過ぎて秋をむかえた時、 
 この家には大きな変化がおとずれていました。

 空想と現実のはざまの物語。
 不思議な余韻-読み終わったあとに心に浮かぶ想い-の残る1冊です。
 
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3年2組は牛を飼います
2008/07/27(Sun)
3年2組は牛を飼います

 木村セツ子・著 相沢るつ子・絵   文研出版 ○

 【2008(H20)夏 3・4年課題図書】

 ”ものを育てることをとおして、いろいろなことをまなびましょう”
 なんとまゆのクラスの3年2組ではこの授業のために牛を飼うことになりました。
 まゆは動物が大の苦手。
 だのに夏休みには交代で牛の世話をしなくちゃならない。
 考えるだけでむかむかする。 
 こわい! くさい!!  
 同じ班になんでもわかってくれるミキちゃんがいてくれるからどうにかふんばれると思ったのに・・・
 
 ”命”を預かる迫力が子どもの口を通して語られます。
 4ヶ月の間、子どもたちが真剣に向き合ったクルミちゃんは
 赤ちゃん牛から立派な子牛に育っていきました。
 でもこの間の子どもたちの成長ぶりはクルミちゃんにも決してひけをとらないものでした。
 まゆ・ナオヤ・ミキちゃん・佐竹さん・宮下君・河本君。
 みんなはだれの気持ちをいちばん近くに感じるかな?
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曲芸師ハリドン
2008/07/27(Sun)
曲芸師ハリドン

 ヤコブ・ヴェゲリウス/著 菱木晃子/訳   あすなろ書房 ×

 
 【2008(H20)夏 中学生課題図書】

 信じない
 信じてみたい
 信じない
 信じてみようか
 信じ・・・・・・・・・
 
 『他人を信用しないのが身のため』を座右の銘とするハリドン。
 信じなければ裏切られることもない。
 でもそれはどこまでいってもひとりぼっちの道。

 そんなハリドンが、たった一人、信じられると思える人に出会えた。
 <船長>。
 それがある夜、突然彼の前から姿を消す。

 ハリドンの混乱が淡々とした筆遣いで描かれる。

 中学生のみなさん、お元気ですか?
 みんなはハリドンみたいな思いをしたこと、ありませんか?
 みんなの周りに心を預けられる<船長>がいてくれますように。
 心をあたためてくれる<小さな犬>がいてくれますように。

 課題図書中学生編も書いてみることにしました。
 いつも図書室からエールを送っています。
  
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耳の聞こえない子がわたります
2008/07/04(Fri)
耳の聞こえない子がわたります


 マーリー・マトリン/作 日当陽子/訳 矢島真澄/絵   フレーベル館

 【2008(H20)夏 5・6年課題図書】

 ミーガンとシンディはご近所さん。
 補聴器の助けを借りないと音の聞こえないミーガン。
 友だちを作ったり誰かといっしょにいることがとても苦手なシンディ。
 どちらにもちょっとしたハンディがあって、
 だからこその長所・欠点、両方がそなわっています。

 まずはお互いがお互いの長所にとびつきます。
 親友への第一歩。
 そのあと、イヤなところが見えてきます。
 ガンコにかちん、押しつけがましさにイライラ。
 最後はつばをとばしての大喧嘩。
 
 でもお腹の底をぶちまけ合ったそのあとに。
 仲なおりをする場面はとても心に残ります。
 『ごめんなさい』と『ありがとう』、は万国共通の魔法の言葉。
 出しおしみ、しないでね。

 
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ブルーバック
2008/07/04(Fri)
ブルーバック


 ティム・ウィントン/作 小竹由美子/訳 橋本礼奈/画   さ・え・ら書房 ○

 【2008(H20)夏 5・6年課題図書】

 エイベルのふるさとはオーストラリアの人里離れた入江。
 あわびとりの名手である母親と自然の恵みを受け、幸せに暮らしていた。

 ある日、母と共に海にもぐっていたエイベルは巨大な魚と出会う。
 年とったブルー・グローパー。(ベラの仲間で食用になる。)
 美しい海を悠々と泳ぎ回るその魚にエイベルはブルー・バックと名前をつける。
 生涯の友。もぐる。観察する。触れてみる。
 五感のすべてを使ってエイベルは海をブルー・バックを理解しようとする。
 
 そんな彼をいつも導いてくれたのが母親のドラだった。
 彼女は海そのものであり、
 自然と人間の共存という難しげな問題をいともやすやすとクリアーしてしまう存在だった。

 二人とも海を大切に人生を進んでいく。
 どちらの生き方も、これからこの美しい地球を守っていくのにとても大切なことを教えてくれる。
 どんな人間もドラかエイベルのどちらかにはなれる。
 ならなくちゃいけない、と思う。

 
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なぜ、めい王星は惑星じゃないの?
2008/07/04(Fri)
なぜ、めい王星は惑星じゃないの?


 布施哲治・著   くもん出版 ○

 【2008(H20)夏 5・6年課題図書】

 2006年、8月。プラハにて「惑星の定義委員会」が開かれる。
 この場において、”惑星”という言葉の正式な意味が決定され、
 その結果、76年間、太陽を回る地球の兄弟星として惑星と呼ばれ続けた冥王星は、
 惑星ではなく準惑星と呼ばれることになった。


 この本では人間が宇宙を観察し続けてきた歴史、
 中でも、太陽系の縁(ふち)近くの星々の発見の歴史、
 そして冥王星の太陽系の中での位置づけが
 くわしく、そしてわかりやすく書かれています。

 恒星・惑星・準惑星・衛星。
 宇宙の仕組みを理解する最初のキーワードです。
 最後まで読みきれば、言葉の意味が理解でき、
 なぜ冥王星が惑星でなくなったのかも理解できることと思います。
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チームふたり
2008/07/04(Fri)
チームふたり


 吉野万里子・作 宮尾和孝・絵   学研 ○

 【2008(H20) 5・6年課題図書】

 主人公の大地は小学6年生。卓球部キャプテン。
 優しい家族にも支えられ、ただ1点、引退試合だけを目指す充実した日々。
 
 心にさざ波が立ち始めたのは、ダブルスのパートナーを発表されたあの日からだった。

 「大地、お前のパートナーは5年生の純。」

 最後の大会だ。なんとしても勝ち残りたい。
 なんでぼくが下級生と組まなきゃいけない?

 時を同じくしていつも大地を落ち着かせてくれた家の様子もおかしくなる。

 これまで同じ部員としてがんばってきた女子部の雰囲気もおかしい。

 当たり前が当たり前でなくなった時、大地の心にしみこんだのは母さんの一言だった。

 「生きているといろんなことがあるのよ。
  正しいとかまちがってるとか関係なく、どうにもならないことが起きる。
  それはさけられないの。
  そのとき、手を取り合って、チームふたりでがんばるの。」(本文より抜粋)

 追い込まれていた大地に光がさす。そして・・・

 
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かわいいこねこをもらってください
2008/06/27(Fri)
かわいいこねこをもらってください


 なりゆきわかこ・作 垂石眞子・絵   ポプラ社 ○

 【2008(H20)夏 1・2年課題図書】

 だれかに呼ばれた気がした。
 「ちい」って。
 すてられてボロボロになったこねこ。
 飼ってやりたい。でも飼えない。
 ちいちゃんの必死のもらい手さがしが始まる。

 「ねこばか」「ねこちゅうどく」投げつけられる心ない言葉。
 でもちいちゃんはへしゃげない。

 なんとしてもこねこを守りぬこうとするちいちゃんの健気さが光ります。
 絵もかわいい。
 1・2年生なら自分で読めるでしょうが、
 できれば大人が読んであげて、
 こねこの行く末に子どもさんと一緒にドキドキしてほしい1冊です。
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