
早見裕司・著 理論社 ×
【2008(H20)夏 中学生課題図書】 あれやこれやで人との関わりあいに疲れ果てた15歳の少女が、
東京を離れ、遠く沖縄で心の友と呼べる少女に出会い、魂の再生を果たすおはなし。
書いてしまうとものものしいのだが、
その再生の道のりはなんとも穏やかでのほほんとして、
読んでいて肩の力がすぅっと抜けて行く感じが心地よい。
ウチナーンチュ(沖縄人)の彩華は15歳。
自称小説家の父と二人で暮らしている。
あと、役に立つんだか立たないんだか判然としない自称”福の神”・青蛙神(せいあしん-3本足の蛙の置物)のポチ。
彼女をとりまく環境は、順風満帆ではないはずなのだが、
周りの人々のゆるさとぬくみが
そして何より彼女自身のからりとした気性が
そんな状況もナンクルナイサー(どうってことないさ)と思わせてくれる。
そこにもう一人の主人公・ナイチャー(内地の人間)の夏海が加わる。
彼女もこのぬくとさの中でナンクルナイサーの精神を体得し、本来の自分を取り戻していく。
彼女を自分の手許におこうと追いかけてきた母親との直接対決は見物。
この物語のもう一つの魅力は等身大の”沖縄”を感じられることだろう。
言葉・風土・人情・社会。
明らかに内地とは違う、一つの独立した文化圏であることを 再認識できる。
ウチナーグチ(沖縄の言葉)の名手にこの本を朗読して聴かせてほしいと思った。
欲を言うなら画像つきで。
追記:上記文中でのナンクルナイサーという言葉の使い方は、厳密には誤りであるらしい。(本文参照)でも、現代の沖縄ではここで用いた意味でも通じるようなのでそのまま使わせてもらうことにした。